スマホやパソコンのお困りごとを解決!地域を繋ぐデジタルサポーターの喜び
定年退職を迎えてから、私は漠然とした不安を感じていました。長年仕事一筋だった生活が終わり、時間の使い道や、これからの自分の役割について考えを巡らせる日々が続いていたのです。そんな時に出会ったのが、地域のデジタルサポーターとしての活動でした。
定年後の新たな一歩:デジタルスキルを学ぶきっかけ
私がデジタルサポーターという役割に関心を持ったのは、友人や近所の方々がスマートフォンやパソコンの操作に困っている姿をよく目にしていたからです。私自身も、現役時代は仕事でパソコンを使っていたものの、スマートフォンの最新機能や、オンラインでの行政手続きなど、日々進化するデジタル技術についていくのが精一杯でした。
「もし、私がもっと詳しくなれば、困っている人たちの手助けができるのではないか」
そう考えたことが、私のセカンドライフにおける新たな挑戦のきっかけとなりました。まずは自分自身がデジタルに関する知識を深めようと決意したのです。
学びから実践へ:デジタルサポーターとしての具体的な活動
最初の一歩として、私は自治体が開催する「シニア向けスマートフォン講座」に参加しました。そこでは、スマートフォンの基本的な操作から、写真の撮り方、LINEの使い方、そしてインターネット上での情報検索のコツまで、一から丁寧に学ぶことができました。若い頃に培った学習意欲が再び湧き上がるのを感じ、毎日がとても新鮮でした。
講座を修了した後、私は地元の公民館が募集していた「地域デジタルサポーター」のボランティアに応募しました。この活動は、週に2回、午前中に公民館の一角で、スマートフォンやパソコンの操作に困っている地域の方々からの相談に乗るというものです。
具体的な相談内容としては、以下のようなものがありました。
- スマートフォンの設定変更やアプリのインストール方法
- 家族や友人とLINEで連絡を取る方法
- 写真や動画の整理、共有の仕方
- オンラインでの買い物やチケット予約の仕方
- 行政手続きのオンライン申請の補助
- 詐欺メールや不審なサイトへの対処法
活動費用は、私が最初に受講した講座のテキスト代程度で、ボランティア活動自体には特にお金はかかりません。むしろ、私自身の学びの機会となり、日々の生活にハリを与えてくれています。
苦労と工夫、そして「ありがとう」の温かい言葉
活動を始めた当初は、苦労も少なくありませんでした。一口に「困っている」と言っても、そのレベルやニーズは人それぞれです。ある方には当たり前のことでも、別の方にとっては全く理解できないということもあります。
そこで私が工夫したのは、次の点です。
- 平易な言葉で説明する: 専門用語は避け、イラストや実演を交えながら、ゆっくりと丁寧に話すことを心がけています。
- 相手のペースに合わせる: 一度で理解できなくても焦らず、何度も繰り返し説明し、実際に操作していただく時間を十分に確保しています。
- 最新情報をキャッチアップする: デジタル技術は日々進化するため、私自身も常に新しい情報を学び、知識を更新する努力を続けています。
何よりも嬉しかったのは、相談者の方々からいただく「ありがとう」という感謝の言葉です。最初は不安そうな表情をされていた方が、操作を覚え、笑顔で「これで家族と連絡が取れるようになりました」「孫の顔が見られて嬉しいです」と言ってくださる時、この活動を始めて本当に良かったと心から感じます。
デジタルサポーター活動がもたらした豊かなセカンドライフ
このデジタルサポーターの活動を通じて、私は多くのものを得ることができました。
まず、「社会との繋がり」です。地域の方々と直接触れ合い、役に立つことで、社会の中に自分の居場所があることを実感できます。様々な世代の方との交流は、私自身の視野を広げてくれました。
次に、「生きがい」です。誰かの困りごとを解決し、喜んでいただけることで、大きな達成感と充実感を得られます。定年退職後に感じていた漠然とした不安は、今ではほとんどなくなりました。
そして、「学び続ける楽しさ」です。常に新しい技術や情報を学び、それを他者に伝えるというプロセスは、私の知的好奇心を刺激し、日々を豊かにしてくれます。
これからセカンドライフを迎える方へのメッセージ
定年退職後のセカンドライフに何をして良いか迷っている方や、新しい生きがいを探している方がいらっしゃいましたら、ぜひ「学び直し」と「社会貢献」を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
デジタルスキルを身につけることは、ご自身の生活を便利にするだけでなく、地域の中で誰かの役に立つ素晴らしい機会を与えてくれます。完璧を目指す必要はありません。まずはご自身の興味のある分野から、小さな一歩を踏み出してみてください。
「ありがとう」という感謝の言葉は、人生を豊かにする最高の栄養剤です。ぜひ、あなたも地域を繋ぐデジタルサポーターとして、新たな喜びと生きがいを見つけてみませんか。年齢は関係ありません。新しい挑戦が、あなたのセカンドライフをきっと輝かせてくれることでしょう。